ボーカルのための花粉症とカビ対策

花粉によって起きる、ボーカルの不調

花粉症をお持ちでなくても、呼吸をすることで花粉は口腔内から声帯へと入り込んでいます。
通常は鼻で呼吸することで、鼻腔内で花粉をとらえることができるのですが、ある特定の条件が起きると、鼻でとらえることができなくなります。

それは、『雨の降った次の日』です。

空気中に飛んでいた花粉は、雨が降ると地上に降ります。地上に降りた花粉は自動車や踏み歩くことで、花粉の粒子が砕けて、より細かい微粒子になり、舞い上がります。
この細かくなった花粉は、鼻でとらえることが難しく、口腔内から声帯へと入り込んでいってしまうのです。

花粉症をお持ちの方はもうお気づきかと思われますが、雨が降った次の日に花粉症の症状が強くありませんか?
これは、このように細かくなった花粉が舞い上がるからと言われています。

口腔内に花粉が入り込むとどうなるの?

花粉が体内に入ると発声しづらい状態になります。

  • 痰がからんだ声になる
  • 鼻に入った花粉は、鼻水として体外排出をしようとします。その鼻水が喉の方向へ流れると、痰の症状となります。また、声帯に付着した花粉も同様に、声帯から粘液を出して、体外排出をしようとしますので、痰がからんだような声になります。

  • 咽頭炎により、響きの無い声になる
  • 鼻腔から喉の方向へ流れた鼻水は咽頭部に沿って流れていきます。その結果、咽頭部の特に扁桃と軟口蓋が赤く炎症を起こして、腫れてしまいます。咽頭部は声の響きを司っておりますので、腫れてしまうと声に響きがなくなったり、喉が痛くて発声しづらくなります。

ボーカルのための花粉対処方法

花粉は習慣の中で防いでいくことをおすすめします。
もちろん、完全には防ぐことができませんが、私が実際におこなっている方法をお伝えします。

  • 外出時、マスクの着用
  • マスクは花粉を口腔内に取り込まない最大の防衛手段です。特にN95マスクと呼ばれるマスクを私は常用しています。
    男性がマスクを着用する際の注意点といたしまして、ひげはぜひ短く剃ってみてください。ひげが長いと、マスクと顔との密着性が良くないので、隙間から花粉が入り込んでしまいます。

  • 空気清浄機で室内の花粉をなくす
  • 花粉の時期は窓を開けると、逆に花粉が入り込んでしまうので、私は空気清浄機を常時動かしています。
    注意点といたしまして、空気清浄機は動かしてすぐに花粉をキャッチすることはできません。空気清浄機は始めに室内に空気の流れを作り、その空気の流れに花粉やほこり、細菌などを乗せて、空気清浄機のフィルターでキャッチする仕組みですので、10分以上はしっかりと動かす必要があります。

ボーカルにとって花粉症の薬は厳禁

花粉症の薬には眠気と喉の乾燥を起こす副作用があります。
副作用の喉の乾燥により、口腔内から咽頭部まで乾燥してしまうと、響きのない発声になってしまいます。

もし、副作用が起きたら、マスクを着用して、口からの蒸気をできる限り、外へ逃がさないようにしてみてください。
または、飴を舐めて唾液を促すのも、効果があるかと思います。

ボーカルが花粉症で歌えない場合は?

花粉症になると、鼻水によって呼吸が不安定となりますので、呼吸も浅くなってしまいます。
また、声も鼻声になってしまいますよね。

私も花粉症を持っておりますので、そのような時に私自身が実施している方法をお伝えしていきます。
あくまで、民間療法ですので、必ずしも効果があるとは限りませんが、私は花粉症の症状を緩和できています。

  • ヨーグルトを食べる
  • ヨーグルトを食べると、効果があったと思い込んでいるのかわかりませんが、花粉症の症状が緩和することが多いです。

  • うがいをこまめにする
  • うがいをすることで、口腔内の鼻水や花粉を体外排出できます。

  • 体温を上げる
  • お風呂などでしっかりと体を温めると、花粉症の症状が緩和することが多いです。

花粉にまつわる、ちょっと面白いお話

花粉シーズンになると、毎年、「昨年の何倍」と報道していますよね。
よく考えてみると、毎年増え続けていったら、花粉で目の前が真っ黄色になってしまいますよね。
こちらはあくまで『冗談』のようですが、このような情報を見かけて、改めて考えさせられました。

【ここから】
花粉の年間飛散量
(参照元:Twitterのページに移動します。こちらのTwitterページと当スクールは一切の関係を持ちません)
【ここまで】

少しだけ掘り下げて、さいたま市健康科学研究センターのホームページで調べてみました。
実際のスギ花粉の飛散量はこちらです。

さいたま市の年間の花粉飛散量
(参照元:さいたま市健康科学研究センターのページに移動します)

最大飛散量を見てみると、毎年増加したり減少したりしているのですね。
しかし、最大飛散量と年間飛散量は異なるので、もしかしたら、冗談ではないお話なのかもしれませんね。

暖かな気候になるとカビや細菌の繁殖が増える

暖かな季節になると、花粉だけではなく、カビや細菌にも注意が必要です。
最近なんだか体がだるいな、喉が痛いな、熱っぽいなどと感じる方はぜひ、カビ対策をしてみてください。

カビ対策も、花粉対策とほとんど同じ方法ですが、カビ視点からの対処方法をお伝えしていきます。

  • 枕カバーを洗う
  • 花粉の時期に布団を干すと花粉が付着してしまい、花粉症の症状が強く出てしまう恐れがありますので、布団は干さずに、枕カバーだけ洗濯してみてください。
    枕は睡眠中に何時間も口元の近くにありますので、こまめに選択すると良いです。

  • 寝室のほこりを少なくする
  • ほこりはカビの温床と言われておりますので、ほこりの多い寝室で寝てしまうと、長時間、呼吸によって吸い込むことになります。

このように、ポイントは『寝室』(就寝する場所)です。
寝室は睡眠により長時間生活する空間なので、綺麗な空気をいかに循環するかがカギとなります。
その他に、私は重曹を溶かした水を毎日飲んでカビ対策をしています。

春から梅雨に向けて、ボーカルが気を付けていくこと

春から梅雨に季節が変わっていくと、気温も湿度もぐんぐん上昇していきます。
その分、空気中の細菌は多くなり、発汗により、体を冷やす機会も多くなるかと思います。

こまめな水分補給も必要ですが、発汗したら衣類を着替えて体を冷やさない工夫も必要になってきます。
脱水になると、声帯が乾燥して、かさかさした声になったり、声帯が硬くなり、高い声が出せなくなってしまいます。
また、体を冷やすと筋肉がこわばり、発声に伴う筋肉が緊張し硬くなってしまいます。
水分補給をより詳しく記載しているページはこちら(セントラルノイズボイススクールの夏がきた!ボーカルの熱中症対策ページに移動します)