冬、ボーカルが歌いづらくなる理由は『筋肉のこわばり』と『声帯の硬さ』
寒い季節になると歌いづらくなりませんか?
その大きな要因となるのは、『筋肉』です。
例えば、寒いところでは、無意識に体を縮こまらせて、ぎゅっと体の筋肉に力が入りませんか?
この状態は筋肉が緊張しているので、筋肉は硬くなっています。
歌う時も、呼吸に伴う筋肉と声帯を動かす筋肉、滑舌に伴う筋肉や共鳴腔を動かす筋肉というように、様々な筋肉を動かしていますので、筋肉が硬くなる環境では歌いづらくなってしまうのです。
それでは、その寒い環境でも歌いやすくする方法をお伝えいたします。
寒い環境、冬の時期での歌いやすくする3つの方法
様々な方法がありますが、お手軽にできる内容をお伝えいたします。
- 室温を上げる
- 通常よりも1.5倍のウォーミングアップをする
- 猫背を無くす
エアコンなどを用いて、室温を上げていただくと筋肉のこわばりを解消できます。
その際の温度は25℃前後をおすすめいたします。
ただし、エアコンは乾燥しますので、エアコンの風が直接当たらないようにしていただき、口腔内や声帯の乾燥を防ぐために、こまめに水分補給をお願いいたします。
寒い環境では、筋肉も冷えておりますので、その筋肉を温めるためには、夏の時季よりも、1.5倍のウォーミングアップをしてみてください。
ウォーミングアップの方法は、当スクールの生徒さんの場合は、レッスンの際のボイストレーニングメニューを行うと温まります。
当スクールのレッスンを受講したことがない方は、低音域から高音域のある曲を歌っていただくと、筋肉が温まりやすいです。
当スクールのボイストレーニングメニューを知りたい方は、『動画リモートレッスン』が始まりました。どうぞ、お試しになってください。
寒くなると、体は心臓を中心に、前側へ丸まります。
この状態、実は、呼吸を浅くすることになります。
なぜなら、内側に入った肩によって肺の周りにある胸郭の筋肉が広がらなくなってしまうからです。
なので、何となく、呼吸がいつもよりも浅いなと感じましたら、猫背になっているかをご確認ください。
乾燥している環境で歌いやすくする3つの方法
湿度が一段と低くなる冬では、歌っている途中で、口腔内が張り付くような感覚になります。
そのような乾燥している環境で歌うと声帯が硬くなり、良い声質ではなくなったり、声域が短くなったりします。
乾燥した環境でも歌いやすくする方法をお伝えいたします。
- 口腔内を湿らせる
- 楽な音域の発声
- 鼻を暖める
水分補給が何よりも良い方法です。
なぜなら、加湿器を入れることができない防音室でも乾燥から守ることができて、容易な方法だからです。
私が実際に行っている口腔内を湿らせる方法は、少量のお水を口に含んだまま、口を閉じて、ハミングを行います。
(ハミングとは、口を閉じた状態で、発声する方法です)
こちらを行うことで、肺を循環する空気に湿り気が帯びて、口腔内から声帯を潤わすことができます。
乾燥した声帯で強い発声を行うと、強い負担となります。
なので、可能な限り、楽な発声を繰り返してみてください。
発声を続けていただくと、おそらく、たんがらみのような症状が起きるかと存じます。
たんがらみが起きたら、正解です。
この場合のたんがらみは、声帯を守ろうと、粘液が発生して喉へ上がってきたものになります。
人の肺は、乾燥していたり、冷たい空気を取り込むことができません。
それでは、どのようにして、寒い環境や乾燥している環境で呼吸をしているのでしょうか。
実は、鼻でコントロールしています。
寒い、乾燥していると感じると、鼻に血流が集中して、充血(炎症)します。
その充血した際に、鼻水を出す腺も刺激されて、鼻水が多く出ます。
そこに空気が通ることで、鼻で暖められて、鼻水で湿った空気が肺へ送られます。
なので、意図的に鼻を暖めることで、乾燥から守ることができると考えます。
以上が、冬の時季に必要なノウハウです。
他にも、ひとりひとりに合わせた喉のケアの方法がございますので、詳しくは、講師へご相談ください。