【MISIA】ミーシャさんの歌いかたからボイトレを学ぶ。実は犬の発声に似ている【発声法】
※こちらのページは考察となります。
ミーシャさんはどうして大丈夫? ボーカルにとって音を歪ませる原因となる前傾姿勢や猫背
ミーシャさんは背中を丸めて前傾姿勢で歌っていることがとても多くあります。
通常、猫背や前かがみの姿勢などで背中を丸めると肩が内側に入り、肺や胸郭が広がりづらくなるためにたくさん呼吸を取り込めなくなるため、ボーカルにとって良くない姿勢です。
更に、前傾姿勢での発声は顎が上がるため、少ない呼吸で循環することとなり、鼻声や発声音を歪ませるきっかけになります。
しかし、ミーシャさんは前傾姿勢で顎を上げて、歌っています。
この疑問はしばらくの間、私の中で解釈ができず、解釈できないと生徒さんにお伝えすることが難しいので、実は数か月の間、研究をしておりました。
そして、遂にミーシャさんの発声の仕方を考察した結果、3つの答えが見つかりましたので、発表します。
こちらのページで、ミーシャさんの歌唱力を解き明かします。
前傾姿勢の謎
ミーシャさんの前傾姿勢は片方の足を一歩前に出して、前に出した足の膝に重心をおろして、腰を曲げていらっしゃいます。
この姿勢には2つの理由があると考察します。
- 重心の安定
- 地鳴りを用いる
- 胸を張った状態で呼吸をする
- 肩を内側にして呼吸をする
重心が不安定だと呼吸を多くとれなくなり、喉を絞った発声になります。
例えば、片足で立った状態で呼吸をすると、ふらついて空気を多く吸えないかと思います。
なので、ボーカルは腰から下の筋肉の強化による体幹を鍛えていく必要があるのですが、ミーシャさんの身長は公式発表ですと153cmで、この姿勢になることで、地上に体が近づくので、重心が安定すると考察しました。
153cmの身長で前傾姿勢になると、発声器官(声帯など)と地上の距離が近くなります。
音の特性上、空気中の水分量によって変化しますが、通常は、高い音は上に響き、低い音は下に響くため、ミーシャさんのように地上に近づけば、その分、声の周波数の中の低音域が増えますので、地鳴りのようになります。
実際に体験してみよう!
仰向けで横になった状態で、「あー」と発声してみてください。
厚みのある声になるはずです。
これが、あのミーシャさんの太い声の秘密なのではないかと考察しました。
呼吸をとる時に猫背で重心を下げる謎
実際に体験してみよう!
おそらく皆さん、肩を内側にして呼吸をするほうが楽に多くの空気を吸うことができるのではないでしょうか。
実は、無理に胸を張ると呼吸が浅くなり、喉を絞る結果になりますので、ボーカルにとって不利になります。
これは、胸を張ることで胸郭の肋間筋などの筋肉が緊張して強張るため、膨らみづらくなるためです。
これが、ミーシャさんが猫背で空気を吸う理由だと考察しました。
そして、空気を吸う時に、重心を下げる理由について、こちらも、実際に体験していただくとわかりやすいです。
両膝を曲げて、腰を真下に下げながら、空気を吸ってみてください。
とても多くの空気を吸うことができることでしょう。
顎を前に出して発声する謎
顎を前に出して発声すると、通常は喉を絞った声になります。
その理由は、鼻声になりやすく、呼吸も浅くなるためです。
しかし、ミーシャさんはこのデメリットをメリットとして生かしています。
例えば、犬の遠吠えはどのようにして発声していますでしょうか。
顔を上げて、「あおーん」とするかと思います。
犬の声帯も基本的には人の声帯と同等なので、本来であれば、喉を絞ります。
しかし、犬の遠吠えはとても澄んだ声で遠くまで届く良い声をしています。
ミーシャさんも、この犬の遠吠えと同様の発声をしていると考察しました。
犬の遠吠えは、喉から顎先まで真っ直ぐ上に向けています。
こちら、心肺蘇生の時の気道確保に似ています。
実際に体験していただくとわかるのですが、呼吸がしやすくなります。
私の体感上、1.3倍から1.5倍は呼吸が楽になります。
気道確保の状態は舌が持ち上がり、空気の通り道が一本にします。
その結果、声帯で発声した音が歪むことなく、そのまま発音されると考察しました。
【番外編】発声時のブレス前に重心を下げる理由
こちらも猫背の解説に似ているのですが、呼吸は体育座りの体勢のように体を丸めたほうがしやすいです。
もうひとつの理由は、腹式呼吸をより効率良く行うためだと考察します。
ブレスからブレスまで歌う時は、ずっと安定的に呼気を出し続ける必要があります。
そのため、ブレス前になると肺に残った空気が少なくなります。その少なくなった空気を安定的に供給するために、腰から90度に曲げていると考察します。
【番外編】ミーシャさんの倍音マジック
ミーシャさんは重厚感のある深い歌声ですよね。
本来であれば、体が小さい人は、繊細で軽やか声になります。
例えば、スピーカーのボディが小さければ、高音域指向となり、スピーカーのボディが大きければ、低音域に厚みがますように、人も、体が大きければ重低音に深みのある歌声になり、体が小さければ繊細で軽やかな歌声になります。
どちらも魅力を引き出すことで良い歌いかたができます。
しかし、ミーシャさんはこの法則から逸脱しています。
これは、上記の通り、重心を安定させて、地上に近づくことで、地上の空間を味方にしているのではないかと考察しました。
ステージなど現場にもよりますが、歌う場所の地面は空洞になっている場合が多いです。
その空洞に発声を響かせて倍音を乗せて、より豊かな声質にしようとしているのではないかと考察しています。
【参考文献】
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjsca/30/3/30_3_333/_pdf
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