感情の込めて歌うためには、表現方法という技を覚えよう。イメージだけでは歌えません。

春の訪れを感じる季節になりました

まだまだ寒い日々が続いておりますが、冷たい風の中に暖かな空気が入り始め、春の訪れを感じます。
節分の時期から鳩の鳴き声も聴くようになり、春の温かさに気がついているように思えます。

しかし、もうすぐ春と言っても、まだまだ湿度が30%台と乾燥が続いておりますので、すぐに声帯が硬くなり、口腔内もパリパリになってしまいます。
皆さんも可能な限り、喉のケアを取り入れて、乾燥から守ってくださると幸いです。

ボーカルの冬の健康管理はこちら

歌に感情を込めるためには、表現方法という技を覚える

好きな歌手やアーティストの歌声を聴いて、このような感動を覚えたことはございませんか?

「気持ちを込めて歌っていて感動する」
「どうしてこんなに気持ち良い歌声なのだろう」
「この歌声は優しくて癒される」

おそらく、感動するからこそ、その歌が好きなのだと思います。
そして、その感動した歌声のように歌いたいからこそ、ボイストレーニングを始める方も多くいらっしゃるでしょう。

しかし、
「何度感情を込めて歌っても、求めている歌い方ができない」
「どうしたら、感情を込めて歌うことができるのかわからない」
と、悩まれていませんか?

実は、歌に感情を込めようとすると、喉の操作で感情を表現しようとしてしまい、喉を絞る発声になってしまうため、ボーカルは感情を込めて歌っていません

感情を込めて歌うと起きてしまう3つのデメリット

  • 感情移入して歌うと涙が溢れて、歌えなくなる
  • 音楽は直接感情に作用する力を持っているため、その想いの含まれた歌詞の当事者になりきって歌うと、涙が溢れたり、舌根や表情筋、胸郭に緊張が入るために喉を絞り、良い声で歌えなくなってしまいます。

  • 辛い心境をそのまま歌に反映させると、聞き手は聞き苦しい
  • 日々の生活の中で時には辛いことを経験することもあるかと思います。その辛い気持ちをそのまま曲に反映してしまうと、聞き手も沈んだ気持ちになり、感動を届ける歌い方ができません。

  • 歌の旋律が単調になり、物足りない歌声になる
  • 気分先行で歌うと、楽しいや悲しいなどのある特定の気持ちだけが歌声に乗り、様々な曲を歌っても同じ曲に聴こえてしまいます。

このように感情を込めて歌うことに集中すると、本来の良い声が発揮できない場合があります。
それでは、どうしたら感情を込めた歌い方ができるのでしょう。

ボーカルは感情を込めた歌い方を表現方法という技でこなしている

世界的に人気のある歌手の曲を聴くと、一曲の中に数多くの表現方法を含ませて、鮮やかな曲に仕上げています。

例えば、マイケル・ジャクソンさんの歌い方の特長の一つでもある短いブレスのタイミングで中高域の声を一瞬だけ「トゥッ」と入れる表現方法を分析すると、これは、周波数や倍音を意識した表現方法だと考えます。

周波数とは簡単にお伝えすると、高音域のほうが遠くまで音が通り、低音域は地面に響く特性を持っておりますので、低音域から中低音域のメロディーが続く曲に、一瞬だけ、遠くまで通る音をアクセントで入れることで、音の幅を付けて、より聞き手に気持ちよく聴いてもらおうというアーティストとしての考えがあるように感じます。

その他にも表現方法は、無限大にあります。

  • カラオケ採点機でもお馴染みの「しゃくりやフォール、こぶしやビブラート、抑揚やロングトーン」
  • 「言葉を短く発声するパッセージノートやだんだん声を大きくするクレッシェンド、だんだん声を小さくするデクレッシェンド」
  • 「声区の切り替えやメロディーやリズムをアレンジするフェイク、鼻から発声するノーズボイス、ささやきで発声するウィスパーボイス、ひずんだ声を混ぜるディストーション、声の響きを変える共鳴腔の使い分け」

この全てが表現方法になり、記載していない表現方法もまだまだたくさんあります。
このように無限大もの表現方法がある理由は、ボーカルそれぞれが思い描いた表現があるからです。

原曲とカバー曲は同じ歌を歌っているのに、違う曲を歌っているように感じたことはありませんか?
これは、歌い手の思い描いた曲の完成形に必要なオリジナルの表現方法を含ませているからです。

理想のメロディーをイメージして、技で音をクリエイトする。まさにプロですね。

例え、歌が上手くても、この表現方法がなければ、ただ歌っているだけの白紙の状態です。
歌は人が歌います。
喜怒哀楽やバイオリズム、気分の高揚や体調の変化など、一人一人異なるメロディーや感性を持っています。
その一人一人異なるメロディーは日々少しずつ変化して、また違ったメロディーラインを浮かぶこともあるでしょう。
時にはリズムがもたったり、かけたりもするでしょう。
その自身から生み出される感性を声帯の操作、腹圧の操作、発声に関連する筋肉の操作で発声の仕方を変えて表現するのが表現方法という技です。

「ここは、少しノーズボイスにして、丸い声にしよう」
「ここのブレスは無くして、ロングトーンでサビに繋げよう」
「イントロからの歌い出しは、共鳴腔にしっかりと響かせて、第一声で魅力を最大限生かそう」

このように自身の感性を技で表現することで、感情を込めて歌うことができます。

表現方法を身に付けるには

表現方法を習得する最初のステップは、あらゆる歌手の歌い方を聴き込んでみてください。
まずは好きな曲から聴き込んでみるのをおすすめします。

続いて、「このフレーズ、このメロディーラインが好き」と感じる歌い方を真似してみてください。

その表現方法に歌い慣れたら、第三者に聴いてもらってみてください。

「似ている」と言われたら、あなたはもう表現方法という技を一つ身に付けています。

原曲そのままに歌う「コピー」は、良くないとおっしゃる方もいますが、数多くの表現方法を身に付けるには、それぞれのボーカルの表現方法を知ることから始めると、自身の好みがわかってきます。
様々なボーカルから大いに吸収して、表現の幅を広げて、より一層、歌を楽しみましょう。